高校野球の三冠の位置付け

 

高校野球の「三冠」とは?

高校野球界でいう通称「三冠」とはどの大会をさすでしょうか?
通常言われるのは「春の選抜」、「夏の選手権」、それに「秋の国体」です。

「三冠」という響きの良さもあり、三冠を制するチームが稀にしか出ないことからも、三冠というのは話題性としてはアリだと思っています。
その割に「春の選抜」、「夏の選手権」に比べて、認知度も著しく低い「秋の国体」を同列に扱うのが気になります。
もっとも、「春の選抜」、「夏の選手権」の2大会を連覇したチームがいて初めて三冠に挑むことができるわけで、連覇がなければ三冠目を大きく扱う必要もないのかも知れませんが・・・。

ちなみに、野球に限らず同世代の高校生達が競うスポーツ大会においては、サッカーでもバスケットでも“高校三冠”は大変な栄誉です。
サッカーでは東福岡高(本山選手の世代)や国見高(大久保選手の世代)、バスケットでは能代高(田臥選手の世代)など。

さて、高校野球に戻って。

高校野球三冠と言えば松坂世代の横浜高校

松坂世代の横浜高校は、新チーム結成から公式戦全戦無敗というとてつもない強さを誇ったチーム。
選抜前の明治神宮大会も制しているので“四冠”としても有名です。
松坂世代が高校三年生だったのが1998年です。

松坂世代以降のまぼろし?実質?の三冠

松坂世代の横浜高校以降で春夏連覇を成し遂げたチームは、2010年の興南(沖縄)、2012年の大阪桐蔭(大阪)の2チーム。
この2チームはそのまま秋の国体に出場していますが、ともに残念な結果になっています。

まず、2010年の興南のケース。
横浜高校以来の三冠に王手!と騒がれたのですが、国体(千葉県で開催)の高校野球日程は予定していた5日のうち2日しか試合を行うことができず。
全試合消化どころか、優勝校も決められず終了。
したがって、優勝校なしでした。

次の2012年大阪桐蔭のケース。
こちらは国体(岐阜県で開催)を順調に勝ち上がって、決勝戦の相手が仙台育英と決まりました。
が、同じく日程の都合で決勝戦は開催されず両校優勝で閉幕。
という意味では一応は「三冠」達成ですね。。。

大会運営がひどい三冠目の大会

「三冠」の1つ、「秋の国体」の扱いについては冒頭で触れましたが、特にひどかったのがここで紹介した2010年。
「春の選抜」、「夏の選手権」を連覇した沖縄代表・興南高校の国体優勝による“三冠”が懸かっており、例年になく高校野球界の注目度が高かった国体でした。
千葉県での開催に当たっては、会場に予想以上の観客が押し寄せ、試合運営が大変だということまでニュースでも大きく取り上げられていました。
大会規定により、もう少し試合を消化できれば準々決勝進出の4チームを優勝とする規定もありました。
しかし、その4チームが出揃う前だったので“優勝校なし”という結果に。
ニュースの見出しには「興南の三冠“消滅”」と大々的に報じられてしまったので、あたかも興南が負けたかのような錯覚を覚えてしまう事態でした。

優勝校を決めるまで試合が行われることが保障されない大会を、高校野球界の「三冠」の1つとして位置付けるのはいかがなものか?

というのが、この話題の発端です。
大会運営の確かさやイベントの大きさ(参加校数)などを考えると、他にクローズアップしてもよい大会があります。
“四冠”だと“三冠”に比べて響きがよくないからというわけではありませんが。

価値のあるタイトルは「明治神宮大会」では?

国体の日程や参加校数(2012年は12校)を考えると、
野球については、春夏甲子園に続く三冠目を「明治神宮大会」に位置付ける!のが妥当な気がしています。

国体は夏の選手権の直後だけに話題性としては盛り上がりますが、参加チームが少ないです。
それに、同時期に新チームを結成した高校は各地域の秋季大会へ向けて活動を開始しています。
この時期に秋の国体へチーム遠征するのは、その学校の新チーム作りに混乱を招くでしょう。
さらには、甲子園で連戦を重ねた上位進出チーム、特に投手へ負担を掛けたチームに更なる短期連戦を強いることにもなります。

また、過去の歴史や話題性や規模からみても「三冠」の真ん中の大会である「夏の選手権」大会が最も大きいです。
3つ目となる「秋の国体」の大会参加資格は直前の「夏の選手権大会」の結果に大きく左右されています。
どうも3つのタイトルが平等には見えません。

それよりも、同時期から活動開始した新チームによる秋の大会=「明治神宮大会」を1つ目。
1つ目の上位進出校を中心により大きな規模で行われる「春の選抜大会」を2つ目。
そして全都道府県から代表校が出てくる最大の大会=「夏の選手権大会」を3つ目。
こうしてあげる方が価値もあるし、わかりやすいと思います。
そうした場合、一番最後に行われる「秋の国体」の開催意義とステータスは改めて見直しが必要かも知れませんけれど。

松坂大輔投手がいた横浜高校の新チーム結成からの“四冠”達成までの道のり

ちなみに、調べてみました。
松坂大輔投手がいた横浜高校の新チーム結成からの“四冠”達成までの道のり。
時系列に大会別に並べてみます。

1997年
・秋季大会地区予選:3試合
・秋季神奈川県大会:6試合
・秋季関東大会:3試合
・明治神宮大会:3試合(準優勝:沖縄水産)
1998年
・選抜高校野球大会:5試合(準優勝:関大一)
・春季神奈川大会:5試合
・春季関東大会:4試合
・全国高校野球神奈川大会:6試合
・全国高校野球選手権大会:6試合(準優勝:京都成章)
・かながわ・ゆめ国体秋季大会:3試合(準優勝:京都成章)

公式戦44戦無敗の道のりの中でもやはり、「明治神宮大会」を最初の一冠と数えた方が、開催時期のバランスも予選試合数の多さもバランスがよい。
それに、少なくとも最後まで日程を消化する大会でないと重みがないですね。
最後の国体は、今の参加校数からしてもオマケに近い位置づけでも止むを得ないのではないでしょうか。

私の提唱する「三冠」大会の優勝&準優勝校

横浜高校の1997年神宮大会以降の、私の提唱する「三冠」大会の優勝&準優勝校を挙げるとこんな感じ。

関西と愛工大名電の神宮大会での強さには何か理由がありそうですが、明治神宮大会の上位校が、冬を越した翌「春の選抜」でも「夏の選手権大会」でも意外と強いのがわかりますね。
明治神宮大会の成績は、その世代のチームの戦績にステイタスを与えるには充分だと思います。

-1997年-

神宮大会
優勝:横浜 / 準優勝:沖縄水産

-1998年-

選抜大会
優勝:横浜 / 準優勝:関大一
選手権大会
優勝:横浜 / 準優勝:京都成章

神宮大会
優勝:日南学園 / 準優勝:日大三

-1999年-

選抜大会
優勝:沖縄尚学 / 準優勝:水戸商
選手権大会
優勝:桐生第一 / 準優勝:岡山理大付

神宮大会
優勝:四日市工 / 準優勝:敦賀気比

-2000年-

選抜大会
優勝:東海大相模 / 準優勝:智弁和歌山
選手権大会
優勝:智弁和歌山 / 準優勝:東海大浦安

神宮大会
優勝:東福岡 / 準優勝:尽誠学園

-2001年-

選抜大会
優勝:常総学院 / 準優勝:仙台育英
選手権大会
優勝:日大三 / 準優勝:近江

神宮大会
優勝:報徳学園 / 準優勝:関西

-2002年-

選抜大会
優勝:報徳学園 / 準優勝:鳴門工
選手権大会
優勝:明徳義塾 / 準優勝:智弁和歌山

神宮大会
優勝:中京 / 準優勝:延岡学園

-2003年-

選抜大会
優勝:広陵 / 準優勝:横浜
選手権大会
優勝:常総学院 / 準優勝:東北

神宮大会
優勝:愛工大名電 / 準優勝:大阪桐蔭

-2004年-

選抜大会
優勝:済美 / 準優勝:愛工大名電
選手権大会
優勝:駒大苫小牧 / 準優勝:済美

神宮大会
優勝:柳ヶ浦 / 準優勝:愛工大名電

-2005年-

選抜大会
優勝:愛工大名電 / 準優勝:神村学園
選手権大会
優勝:駒大苫小牧 / 準優勝:京都外大西

神宮大会
優勝:駒大苫小牧 / 準優勝:関西

-2006年-

選抜大会
優勝:横浜 / 準優勝:清峰
選手権大会
優勝:早稲田実 / 準優勝:駒大苫小牧

神宮大会
優勝:高知 / 準優勝:報徳学園

-2007年-

選抜大会
優勝:常葉菊川 / 準優勝:大垣日大
選手権大会
優勝:佐賀北 / 準優勝:広陵

神宮大会
優勝:常葉菊川 / 準優勝:横浜

-2008年-

選抜大会
優勝:沖縄尚学 / 準優勝:聖望学園
選手権大会
優勝:大阪桐蔭 / 準優勝:常葉菊川

神宮大会
優勝:慶應 / 準優勝:天理

-2009年-

選抜大会
優勝:清峰 / 準優勝:花巻東
選手権大会
優勝:中京大中京 / 準優勝:日本文理

神宮大会
優勝:大垣日大 / 準優勝:東海大相模

-2010年-

選抜大会
優勝:興南 / 準優勝:日大三
選手権大会
優勝:興南 / 準優勝:東海大相模

神宮大会
優勝:日大三 / 準優勝:鹿児島実

-2011年-

選抜大会
優勝:東海大相模 / 準優勝:九州国際大付
選手権大会
優勝:日大三 / 準優勝:光星学院

神宮大会
優勝:光星学院 / 準優勝:愛工大名電

-2012年-

選抜大会
優勝:大阪桐蔭 / 準優勝:光星学院
選手権大会
優勝:大阪桐蔭 / 準優勝:光星学院

神宮大会
優勝:仙台育英 / 準優勝:関西

-2013年-

選抜大会
優勝:浦和学院 / 準優勝:済美
選手権大会
優勝:前橋育英 / 準優勝:延岡学園

神宮大会
優勝:沖縄尚学 / 準優勝:日本文理

-2014年-

選抜大会
優勝:龍谷大平安 / 準優勝:履正社
選手権大会
優勝:大阪桐蔭 / 準優勝:三重

神宮大会
優勝:仙台育英 / 準優勝:浦和学院

-2015年-

選抜大会
優勝:敦賀気比 / 準優勝:東海大四
選手権大会
優勝:東海大相模 / 準優勝:仙台育英

神宮大会
優勝:高松商 / 準優勝:敦賀気比

-2016年-

選抜大会
優勝:智弁学園 / 準優勝:高松商
選手権大会
優勝:作新学院 / 準優勝:北海

神宮大会
優勝:履正社 / 準優勝:早稲田実業

 

 

本内容は下記ブログのエントリー内容
勝手な野球論~高校三冠の位置づけ
を改変・加筆により掲載しました(2016/12/11)。