1.野球の監督関連本

 

読めば(プロの)監督気分になれる本・野球観戦が楽しくなる監督関連本たち。

        

 

野球術(上)

ジョ-ジ・F.ウィル/芝山幹郎

いわゆる“野球本”に目覚めてしまったキッカケになった本。
メジャーリーグの実際する選手・監督の話や試合について書かれていますが、やはり旧い時代の名前が並んでいるので、知らない名前がたくさん出てくるのも事実です。
でも、“古典”と言われるだけのことはある。何度読み返しても、「あぁ、こんなことも書いてあったんだ」という発見があります。
奥が深いです。
ランナー1・3塁の場面でのダブルスチールの方法。何個の作戦を思いつきますか?
「シチュエーション・ベースボール」の項でカージナルス元監督のラルーサ氏が8種類も!述べていますよ。
まさにスモールボールな監督術!!
ちなみに
『上』が監督術・投球術
『下』が打撃術・守備術
『上』のほうが、僕は時代を超えて面白い内容だと思います。

 

野村ノート

野村克也

野球について、技術論だけでなく精神論まで踏み込んで章立てて書いた本のスタンダード、バイブルが『野村ノート』だと思います。
野球の本を、ただの本でなく、野球学の解説書として高めたのが野村克也氏。
野球に詳しいライターが書いたのではなくて、プロ野球の世界で選手としても指導者としても実績を残した野村克也氏だからこそ、その価値が賞賛される本だと思います。
『野村ノート』があまりにも有名になってしまい、これをタイトルに含む本も数多く出版されていますが、元祖『野村ノート』にある“人間学”の考察が、いわゆるビジネス書としても評価を受けているからだと思います。
プロ野球選手である前に一人間、一社会人である、と。
現役を退いた野村克也氏、あとは著書にその活躍の場を委ねるしかないのでしょうかね。
野村ノートの
「意識が変わると、行動が変わる」
で始まるフレーズが好きです。

 

コーチング

落合博満

コーチングというタイトルのとおり、世の中の管理職へのメッセージを込めた内容の本。
自らの選手時代の経験を元に指導者、監督として気を使うことを、野球とその指導を元に具体的に書いてくれている。
ただ、内容としては落合氏の他の本やその他もろもろの雑誌記事などを読んだことのある人ならそんなに珍しいことは書いてない。
この本を読むと、キャンプでの練習方針などにおける落合(元)監督の発言も軸がブレていないもの、と捉えることができます。
印象に残ったのは「多村(横浜)のスイング」の話と「夫人のぽっちゃり体型説」。

 

采配

落合博満

中日での監督業8年間を振り返りつつ、みずから目指したプロ野球の監督像について余すところ無く述べられている本です。
就任一年目の開幕試合で先発起用した川崎投手、日本シリーズで完全試合目前に交代を告げた山井投手。
しっかり情報統制をしていたからこそ、今になってしっかり語られた真実がたくさんあります。

 

覇者の条件 ~組織を成功に導く12のグラウンド・ルール

ジョー・トーリ

説明するまでもなく、名門ニューヨーク・ヤンキースの監督を長期に渡って務め、在任中には松井秀喜との親交から日本でも取り上げられた人物。
当時ヤンキースに在籍した選手の名前を思い浮かべながら読むだけで楽しい一冊です。
副題に「グラウンド・ルール」とありますが、ここに書かれている内容は会社などにも当てはまる“組織論”に他なりません。

 


      

高校野球 神奈川を戦う監督たち

大利実

よく「日本一の激戦区」と夏の甲子園大会の頃には形容されるのが神奈川県の予選大会。
随分と前から200校以上からたった1校の優勝校しか甲子園出場が叶わないことが、他の都道府県との“格差”的な表現で扱われます。
ただ、その予選出場校が多いことだけがクローズアップされるだけでなく、その激戦を勝ち抜いてきた高校はすなわち関東・東日本の雄として紹介されるほどで、横浜、東海大相模、桐蔭、法政二などの春夏での全国優勝経験校も多々あります。
そのような環境の中、各校の名前とも遜色ないくらいに知名度があるのがそれら有名校を指導する指導者の方々。
上述の優勝高のほか、昨今でも有力校に挙げられる日大藤沢、桐光、慶應、横浜隼人などの監督・指導者方を取り上げたのがこの『高校野球 神奈川を戦う監督たち』です。
この本では高校野球の指導者となったいきさつや、いわゆる修業時代の話は、あの高校のあの監督の指導法や作戦の考え方のルーツがどこにあるのか?という興味をそそられました。
数年前に甲子園初出場で活躍した横浜隼人のハツラツとしたプレーには、花巻東に共通するルーツがある!?
などといった話題も。
すでに監督としても全国区の知名度のある方が揃いながら、それぞれが違った経歴・思想の持ち主で、それをベースにした育成理論の違いを楽しむだけのボリューム十分の内容。
神奈川だけでなく、高校野球好きな人にはおススメしたい本です。
この本を読むと、ますます神奈川の高校野球予選を観戦したくなります。
いずれにしても、これら全国区の強豪同士の監督さん達が日ごろから盛んに交流し切磋琢磨しているのですから、激戦区神奈川の高校野球のレベルはしばらく安泰なのでしょうね。

 

心の野球 超効率的努力のススメ

桑田真澄

よくキャッチボールのときに声を出してやらされた部活時代。
あれを批判しています。
声を出しながらなんてキャッチボールしたら意識が集中できないから、と。今にして思えば、確かにその通りと思います。
「試合では声出してボール投げないでしょう?」という問いに対してはお返事ができませんね。
試合でやらないことを練習でやっても意味が無い。これは「超効率的努力」の一端ですよね。

 

救援力 リリ-フ投手の極意

鹿取義隆

現役時代は猛練習で“救援力”を築き上げた鹿取氏が指導者として考えていることが、選手との密なコミュニケーションを土台にしたものであること。
そして、量に裏打ちされた猛練習ではない、理詰めの方法論を重視していること。ここを支持したいです。
自らが現役時代に経験した「量をこなして鍛える」ことをそのまま当てはめればうまくいく、というありがちな指導者の発想ではなく、アメリカの指導法をじかに勉強して得られた方法論・持論が書かれています。
若い選手を「極使してふるいに掛ける」のではなく「育てる」ことをベースにした指導法を広めていってもらいたいです。

 

参謀

森繁和

中日の監督を務めた落合氏から絶大な信頼を受けて、中日・落合政権下でコーチとして長くチームを支えた森氏の、落合監督を回顧した本。
日本シリーズの山井投手の交代話はもちろん、チーム内での育成の方針、ドミニカでの選手発掘の話など、落合著の「采配」の紹介を随所に挟みながらの展開。
落合博満氏との縁を結んだのがあの根本氏だったことなどは知られていなかったことだと思います。
そういったことも含めて、前出の「采配」とセットで読むとより面白い本です。